初めて金魚をお迎えするときには、まずトリートメントを行いましょう。私は最初トリートメントって聞いたことなかったし、面倒くさそうだし、せっかく水槽を準備したのにその前にトリートメントって、何?と思いました。
やらなくても別に大丈夫だろうと安易に考え、いきなり本水槽で金魚を飼い始め、結果、後悔することになりました。
これから金魚を飼おうとしている方が後悔することがないよう、なぜトリートメントが必要なのか、私の失敗談を交えてお話しします。
トリートメントは実際やってみると面倒な難しいことではありません。長く金魚飼育を続けるための一つの大事な行程です。トリートメントに必要なグッズとやり方についてもご紹介します。
金魚飼育はトリートメントから始まる
トリートメントとは
金魚を家に連れて帰ったら早く水槽で泳がせてエサをあげたいと思いがちですが、初めからいきなり飼育水槽に入れるのではなく、大きめのバケツまたは別水槽で一週間ほど塩浴をさせて様子を見ます。これをトリートメントと言います。
なぜトリートメントが必要なのか
金魚をお迎えするルートは様々です。ホームセンターの展示販売が過密スペースだったり、金魚すくいで散々追い回されたり、輸送途中の揺れや温度変化もあります。
あらゆるストレスにさらされたうえで新しいわが家にたどり着いた金魚は、元気そうに見えても実際は想像以上に疲れて弱っています。
お疲れの金魚を、まずはゆっくりと塩浴で休ませてあげるのがトリートメントです。この期間に金魚をよく観察することで、病気や寄生虫がないか確認することができます。
【私の失敗談】
私が最初に近所のホームセンターで購入した2匹の金魚のうち、1匹にすぐに疲れた様子が見え始めました。良く見るとウオジラミがついていました。ウオジラミは取り除きましたが金魚はそのまま弱っていき家に来て5日目に死んでしまいました。
その翌日、ネットで注文してあった3匹の金魚が宅配便で届き、水槽に仲間入りしました。残った1匹と一緒に4匹になりました。
更に翌日、最初の1匹が元気がなくなり、身体やひれに白い点がありました。白点病かもと思い、水槽からバケツに隔離しました。
隔離した次の日、最初の1匹は死んでしまいました。やはり白点病でした。後からネット購入した3匹は、気付かずに白点病だった1匹と2日間同居させてしまいました。
そして後から届いた3匹にも白点病の症状が出ます。全くの金魚初心者が飼育一週間で白点病との戦いを余儀なくされました。
そこから約3週間近く塩浴と薬浴で白点病は治まりました。本当に治って良かったです。でもまさか最初からそんなことに遭遇するとは考えていませんでした。
最初にホームセンターで購入した金魚が白点病を持っていたとしても、金魚を入手するたびに別容器でトリートメントしていれば、少なくとも後から届いた3匹に白点病が発生することはなかったはずでした。
私のように大丈夫だろうと軽く考えないよう、あるあるなのでトリートメントはしっかりと行いましょう。
【もう一つの可能性】
初めて飼った金魚2匹がすぐに立て続けに死んだのです。白点病発覚後、残った3匹も死んでしまったらどうしようと、金魚を飼い始めたことを後悔さえしました。
塩浴と薬浴の期間はとにかく必死でした。ネットで情報をかき集め、できる限りの最善の策を考え実行しました。ただ最初の2匹が死んだ原因がウオジラミと白点病だとしたら、それほどまでに弱っていのかもしれませんが、死ぬのが早過ぎるな、とも思いました。
水槽は立ち上げたばかりでした。もしかしたら最初の2匹は、パイロットフィッシュの役割をしてしまったのかもしれない、と後から思いました。パイロットフィッシュについては別の機会にお話しします。
トリートメントの準備
トリートメントの準備は金魚をお迎えする前にしておきましょう。金魚のトリートメントに使うグッズをあげてみます。
バケツ
大きめのバケツを用意します。洗濯などに使っていたバケツがあればそれでも代用できますが、洗剤成分が残っていたりするので、できれば金魚専用にバケツを用意しましょう。
別水槽があればベストですが、最初から水槽をもう一つ用意するのはハードルが高いと思います。気負わず、大きめのバケツで大丈夫です。
バケツはより大きい方が水量を入れられるので、水の汚れ方を考えると水換えの頻度はラクですが、あまり大きいと水を入れたときに重たくなるので、普通サイズのバケツで水換えをまめにする方法もあります。
カルキ抜き
水道水は、必ずカルキ抜きをしてから金魚に使います。水道水に含まれる塩素は人間には影響ありませんが、金魚にとっては危険です。
水道水を1日~2日くみ置けばカルキは抜けますが、専用のカルキ抜きがあると金魚用の水がすぐに用意できて便利です。
魚網
水合わせでバケツに金魚を移すときに、入っていた袋の水ごとバケツに移すのではなく、魚網を使いましょう。袋の水を入れないことで病気や寄生虫などの持ち込みを防ぎます。
人間の体温は金魚よりもかなり高いので、直接触れるのは金魚にとってストレスです。手ですくうのはやめましょう。
水温計
金魚に適した水温は約25℃で、20~28℃ぐらいなら元気に過ごせます。水温計があると温度管理に便利です。
水温は気温よりも変化が緩やかですが、極端な温度変化や水温が高すぎたり低すぎたりは金魚が弱る原因になります。水温計をチェックして水温に気を配りましょう。
塩
金魚に塩?と私は最初驚きました。塩浴は移動の疲れを癒やすだけでなく、消化不良や病気の初期など、金魚の静養にとても効果的です。適切な濃度で使いましょう。
塩はスーパーで売っている普通の精製塩でOKなので準備がラクかと思います。ただし余分な成分が入っている美味しそうな塩は家にあってもNGです。
金魚のトリートメント用として、スドーの「金魚の天然珠塩」は金魚用だけあって水に溶ける速度などが考えられています。使い勝手が良くおすすめです。
トリートメントのやり方
バケツに水を用意する
大きめのバケツに水道水を用意し、カルキ抜きします。水温は常温で、できれば25℃ぐらいが金魚には適温です。冷たすぎるようならお湯を足して温度を調節しましょう。
その水に0.5%になるように塩を入れます。10Lの水なら50gの塩を入れると0.5%になります。塩の濃度は大事なので、キッチンスケールを用意してしっかり計ることをおすすめします。
水に塩を入れることで、金魚自体の塩分濃度と水の塩分濃度の差が少なくなり、金魚が浸透圧調整で体力を使わなくて済むようになります。
金魚を入れる
水の用意ができたらいよいよ金魚です。金魚はいきなりバケツに移すのではなく、持ち帰った袋のまましばらくバケツの水に浮かべて水合わせをします。水温や水質の急激な変化で金魚が体調をくずし弱ってしまうのを防ぐ為です。
1~2時間かけて、袋の中に少しずつバケツの水を入れて合わせていきます。袋の中の元々の水がバケツに移らないようにして、増えすぎた分は捨てましょう。
袋の中の水がほとんど入れ替わり大丈夫そうなら、金魚をバケツに移します。手を使わず魚網で優しく金魚を移動させましょう。
様子を見る
トリートメントの期間に毎日行うのは、0.5%のカルキ抜きした塩水で3分の1~2分の1程度の水換え、水温の確認、金魚の様子を観察することです。
トリートメント中の水換え
トリートメント中の水換えは2~3日に一度という方もいます。もちろんそれも有りです。ただ、余裕のある水槽なら良いのですが、普通サイズのバケツを使っている場合は、水量の半分ぐらいは毎日水換えをしても良いと私は思います。
金魚が排泄するアンモニアは金魚にとって有毒です。アンモニアを毒性が少ない亜硝酸や硝酸に変えてくれるバクテリアがバケツの水には住み着いていません。
排泄される有毒なアンモニアは水中に溜まり続け、それを排除する方法は水換えしかないのです。
水換えで新しく入れる水の温度は、バケツの水と合わせましょう。水道水が冷たすぎるようならお湯を足して温度を確認し、カルキ抜きをして、塩で塩分濃度を整えます。
トリートメント中のエサやり
少なくても2~3日はエサはなしです。絶食で様子を見ます。1週間ほどのトリートメント中はエサなしで大丈夫です。疲れている金魚がエサを食べて消化不良をおこすことがあります。
ついついあげたくなり、実は私は3日目から少しずつあげてしまいました。その場合はエサが入ることで更に水が汚れます。水質の悪化に注意してしっかりと水換えをしましょう。
トリートメント終了
トリートメント期間は一週間ぐらいです。一週間あれば金魚に病気や寄生虫があっても見つけられるし、疲れも回復してくる期間です。
一週間たって何も問題がなければ、飼育水槽に移します。まだ疲れが見えるようなら塩浴を続け、病気や寄生虫が発覚したら薬浴を行うことになります。
トリートメントの塩浴からいきなり飼育水槽の真水に戻すのではなく、1日ぐらいかけて少しずつ塩分濃度を減らしていきます。
まず3分の1ぐらいカルキ抜きした真水に水換えをします。様子を見ながら2~3時間おきに、カルキ抜きした真水に水換えをしていきます。3~4回ぐらい水換えを繰り返し、大丈夫そうなら本水槽に移しましょう。
いよいよ本水槽デビューです。